【症例報告】椅子から立つ時の腰痛と股関節の不安感|膝に負担をかけないリハビリの重要性
2026年07月22日
椅子から立ち上がる時に腰が痛い。股関節が抜けそうで怖い。膝の状態が不安で、運動したいのに何をしてよいかわからない。
このようなお悩みは、60代以降の方に少なくありません。
腰痛は、腰だけが原因で起こるとは限りません。股関節の硬さ、骨盤の傾き、膝の不安定感、筋力低下、過去のケガによるかばい動作などが重なり、腰へ負担が集中することがあります。
今回は、江東区住吉駅前サモーナスポーツ整骨院に来院された60代男性の症例をもとに、椅子から立ち上がる時の腰痛と、股関節・膝・骨盤の関係について解説します。
60代男性|椅子から立ち上がる時の腰痛で来院
今回の患者さんは、60代男性です。
主なお悩みは、椅子から立ち上がろうとする時の腰の痛みでした。さらに、股関節が抜けそうになるような怖さもあり、日常生活の動作に不安を感じていました。
なお、今回の患者さんは某大手同業他社からのご紹介で来院されました。
また、左膝の半月板の摩耗を指摘されており、ウォーキングやスクワットなどの運動を医師から制限されている状態でした。
しかし、ご本人としては、
「身体を動かしていた方が調子が良い」
「膝に負担をかけずにリハビリをしたい」
「健康な身体づくりをしたい」
という前向きな目標をお持ちでした。
このようなケースでは、単に腰の痛みを取るだけでなく、膝に負担をかけない範囲で、股関節や体幹、骨盤周囲の筋力を整えていくことが重要になります。
評価で確認した身体の状態
当院では、腰痛の方に対しても、痛みが出ている腰だけでなく、姿勢、股関節、膝、骨盤、筋力、柔軟性を確認します。
今回の評価では、以下のような特徴がみられました。
・カイホロードシス姿勢
・FFDは下腿上部まで
・股関節外旋可動域に左右差あり
・梨状筋の硬さは右側に強い
・腸腰筋、中殿筋、大殿筋、ハムストリングスに筋力低下や左右差あり
・左骨盤下がり
・SLR、ラセーグ、ケンプ、ニュートンテストはいずれも陰性
カイホロードシスとは、背中の丸まりと腰の反りが強くなりやすい姿勢のことです。この姿勢では、骨盤や股関節の動きが制限され、腰に負担が集中しやすくなることがあります。
FFDとは、立った状態で前屈した時に指先がどこまで届くかを確認する評価です。腰だけでなく、股関節や太もも裏の柔軟性、背中の動きも関係します。
また、股関節外旋の可動域には左右差がありました。股関節外旋とは、股関節を外側へ開く動きです。この動きが硬くなると、立ち上がりや歩行時に骨盤や腰へ負担がかかりやすくなることがあります。
腰痛と股関節・膝の関係
今回の症例で重要だったのは、腰痛の背景に股関節や膝の状態が関係している可能性があったことです。
椅子から立ち上がる動作では、腰だけでなく、股関節、膝、足首、体幹が連動します。
本来であれば、立ち上がる時には股関節をしっかり曲げ、足で床を押し、殿部や太ももの筋肉を使って身体を持ち上げます。
しかし、膝に不安があると、無意識に膝をかばう動作が出やすくなります。その結果、股関節や殿部の筋肉をうまく使えず、腰で身体を起こそうとしてしまうことがあります。
また、半月板の摩耗などで膝への負担を避けていると、運動量が減りやすくなります。運動量が減ると、腸腰筋、中殿筋、大殿筋、ハムストリングスなど、骨盤や下半身を支える筋肉が弱くなりやすくなります。
これらの筋肉がうまく働かないと、骨盤の安定性が低下し、立ち上がりや歩行時に腰へ負担が集中する原因の一つになります。
つまり、今回のような腰痛では、腰だけを施術するのではなく、
・股関節の可動域
・膝への負担
・骨盤の傾き
・殿部や太ももの筋力
・立ち上がり動作のクセ
を総合的に確認することが大切です。
施術内容とリハビリ
今回の症例では、以下の内容を行いました。
・骨盤矯正
・ハイボルトによる腸腰筋へのアプローチ
・下肢全体へのハイボルト
・腰方形筋へのアプローチ
・クラムシェル
・レッグカールの自動抵抗運動
・ヒップリフト
ハイボルトは、電気刺激を用いて筋肉や関節周囲にアプローチする施術です。今回の症例では、腸腰筋や下肢、腰方形筋などに対して行いました。
腸腰筋は、腰椎から股関節につながる深い筋肉です。姿勢保持や脚を持ち上げる動作に関わり、腰痛や股関節の違和感にも関係することがあります。
腰方形筋は、腰の横にある筋肉で、骨盤や腰椎の安定に関わります。片側に負担がかかる姿勢や歩き方が続くと、緊張が強くなりやすい筋肉です。
また、施術だけでなく、膝に負担をかけにくい範囲でのリハビリも行いました。
クラムシェルは、横向きで股関節を開く運動です。中殿筋を働かせる目的で行います。中殿筋は、歩行時に骨盤を安定させる重要な筋肉です。
レッグカールの自動抵抗運動は、ハムストリングスを使う運動です。膝の状態に配慮しながら、無理のない範囲で筋肉の働きを引き出します。
ヒップリフトでは、膝から下腿部あたりにクッションを入れ、臀部の収縮を意識しやすいように調整しました。大殿筋を使えるようにすることで、立ち上がり動作や骨盤の安定につながることが期待できます。
施術後の変化
施術とリハビリ後、今回の症例では腸腰筋の筋力評価に変化がみられました。MMTでは腸腰筋が4+程度まで改善し、身体の軽さを実感されました。
また、来院時に訴えていた腰痛についても、施術後には痛みの軽減が確認できました。
ただし、すべての腰痛で同じ結果になるわけではありません。症状の原因、膝や股関節の状態、筋力低下の程度、生活習慣によって経過は異なります。
今回の症例では、腰痛に対して腰だけを見るのではなく、股関節や膝の状態が腰痛に影響している可能性を共有しながら、施術とリハビリを進められたことが重要なポイントでした。
膝に不安がある方こそ、運動を完全に止めないことが大切
膝に痛みや不安があると、「運動しない方がいいのでは」と考える方も多いです。
もちろん、膝の状態によってはウォーキングやスクワットなど、膝に負担がかかる運動を控えた方がよい場合があります。医師から運動制限が出ている場合は、その指示を守ることが大切です。
しかし、運動を完全に止めてしまうと、筋力低下や柔軟性低下が進み、結果的に腰や股関節への負担が増えることもあります。
大切なのは、「何でも頑張ること」ではなく、「膝に負担をかけにくい方法で身体を動かすこと」です。
たとえば、膝に強い負担がかかる深いスクワットが難しい場合でも、
・横向きで行う股関節の運動
・寝た状態で行う殿部の運動
・膝の角度を調整したヒップリフト
・体幹を安定させる軽いエクササイズ
・股関節や足首の可動域改善
など、状態に合わせてできる運動はあります。
痛みのある部位を守りながら、使える筋肉を少しずつ取り戻すことが、腰痛や膝の不安を減らすために重要です。
同じような症状でお悩みの方へ
椅子から立ち上がる時の腰痛は、腰だけが原因とは限りません。
過去のケガ、膝の不安、股関節の硬さ、骨盤の歪み、筋力低下、姿勢の崩れなどが重なって、腰に負担が集中している場合があります。
特に、膝に不安がある方は、知らないうちに腰や股関節でかばう動作が増えていることがあります。
そのため、腰痛を改善していくためには、痛みのある腰へのアプローチだけでなく、股関節や膝、骨盤、下半身の筋力バランスを整えていくことが大切です。
怪我をした部位は、痛みが落ち着いたら終わりではありません。必要なリハビリを行い、身体全体のバランスを整えることで、痛みにくい身体づくりにつながることがあります。
サモーナスポーツ整骨院では、腰痛、股関節の違和感、膝の不安、姿勢の崩れに対して、施術と運動指導を組み合わせてサポートしています。
医療機関を受診した方がよい症状
腰痛や股関節の違和感がある場合でも、状態によっては医療機関での確認が必要です。
以下のような症状がある場合は、整骨院だけで判断せず、医療機関の受診を優先してください。
・足のしびれや麻痺が強い
・排尿や排便に異常がある
・発熱を伴う腰痛がある
・安静にしていても強い痛みが続く
・転倒や外傷後から強い痛みがある
・急に脚の力が入りにくくなった
・股関節が実際に外れそうな強い不安定感がある
・膝の腫れや熱感が強い
不安な症状がある場合は、早めに医療機関や専門家に相談しましょう。
まとめ
今回は、椅子から立ち上がる時の腰痛と、股関節が抜けそうになる不安感で来院された60代男性の症例をご紹介しました。
今回の症例では、カイホロードシス姿勢、股関節の可動域の左右差、腸腰筋や中殿筋などの筋力低下、左骨盤下がりがみられました。
施術では、骨盤矯正、ハイボルト、腸腰筋や腰方形筋へのアプローチに加えて、クラムシェル、レッグカール、ヒップリフトなど、膝に負担をかけにくいリハビリを行いました。
その結果、今回の症例では腸腰筋の筋力評価や身体の軽さ、腰痛に変化がみられました。
腰痛は、腰だけでなく、股関節、膝、骨盤、体幹、筋力バランスが関係していることがあります。
江東区住吉駅・大島駅周辺で、椅子から立ち上がる時の腰痛、股関節の不安感、膝に負担をかけないリハビリにお悩みの方は、サモーナスポーツ整骨院までお気軽にご相談ください。
痛みの改善だけでなく、健康な身体づくりと再発予防まで一緒にサポートいたします。
よくある質問
Q1. 椅子から立ち上がる時に腰が痛いのはなぜですか?
椅子から立ち上がる動作では、腰だけでなく股関節、膝、骨盤、体幹が連動します。股関節の硬さや殿部の筋力低下、膝をかばう動作などがあると、腰に負担が集中しやすくなります。その結果、立ち上がる時に腰痛が出る原因の一つになることがあります。
Q2. 股関節が抜けそうに感じるのは危険ですか?
股関節が抜けそうに感じる場合、股関節周囲の筋力低下、可動域の制限、骨盤の不安定感、かばい動作などが関係していることがあります。ただし、実際に強い不安定感がある場合や、歩行が困難な場合、痛みが急に強くなった場合は、医療機関での確認が必要です。
Q3. 膝の半月板に不安がある場合、運動はしない方がいいですか?
膝の状態によっては、ウォーキングや深いスクワットなどを控えた方がよい場合があります。医師から運動制限が出ている場合は、その指示を守ることが大切です。ただし、完全に運動を止めると筋力低下が進み、腰や股関節への負担が増えることもあります。膝に負担をかけにくい運動を選ぶことが重要です。
Q4. 膝に負担をかけにくいリハビリにはどのようなものがありますか?
状態にもよりますが、横向きで行うクラムシェル、寝た状態で行うヒップリフト、膝の角度を調整した殿部の運動、体幹を安定させる軽いエクササイズなどがあります。痛みがある場合は自己流で行わず、専門家に確認してもらいながら進めると安心です。
Q5. 腰痛なのに、なぜ股関節や膝も確認するのですか?
腰痛は、腰だけが原因で起こるとは限りません。股関節が硬い、膝をかばっている、骨盤が傾いている、殿部や太ももの筋力が低下していると、立ち上がりや歩行時に腰へ負担が集中することがあります。そのため、腰痛の改善には股関節や膝、骨盤、体幹まで確認することが大切です。
Q6. カイホロードシス姿勢とは何ですか?
カイホロードシスとは、背中の丸まりと腰の反りが強くなりやすい姿勢のことです。この姿勢では、骨盤や股関節の動きが制限され、腰に負担がかかりやすくなる場合があります。姿勢の崩れは腰痛や股関節の違和感に関係することがあります。
Q7. ハイボルトは腰痛に対してどのような目的で行いますか?
ハイボルトは、電気刺激を用いて筋肉や関節周囲にアプローチする施術です。腰痛の場合、腸腰筋や腰方形筋、股関節周囲など、痛みに関係している可能性のある部位の反応を確認しながら行うことがあります。症状の程度によって適した施術は異なります。
Q8. どのような腰痛なら医療機関を受診した方がいいですか?
足のしびれや麻痺が強い、排尿や排便に異常がある、発熱を伴う、安静にしていても強い痛みが続く、転倒や外傷後から痛みが強い、急に脚の力が入りにくくなった場合は、医療機関での確認を優先してください。自己判断せず、早めに相談することが大切です。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
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柔道整復師(国家資格)
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NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
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中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









