15km走後に左ふくらはぎが痛む|70代男性ランナーの症例
2026年08月14日

70代の男性ランナーが、ランニング中に発生した左ふくらはぎの痛みを主訴に来院されました。
発症のきっかけは7月9日のランニング中で、15kmを走行している途中に左ふくらはぎ外側へ鋭い痛みが出現しました。最初は軽い張り感程度だったものの、徐々に痛みが強くなり、その後は走行を継続することが困難となりました。
来院時には日常生活の歩行は可能であるものの、「1kmも走れない」「少し走るとすぐにふくらはぎが張って痛くなる」という状態で、ランニング動作に大きな支障が出ていました。
患者さんは長年ランニングを継続されており、健康維持だけでなく競技としても取り組まれている方で、8月30日に札幌で開催されるフルマラソンへの出場を予定されていました。目標は完走であり、制限時間内でのゴールを強く希望されていました。
そのため、単なる痛みの改善だけでなく、「再びフルマラソンを走れる身体に戻すこと」が今回の施術の大きな目的となりました。
身体の状態を確認
まずは痛みの出ている左ふくらはぎの状態を詳細に評価しました。圧痛が強く出ていたのは左腓腹筋外側頭の下部で、ランニング時の蹴り出し動作や着地衝撃の影響を受けやすい部位でした。
しかし、局所の評価だけでは原因の特定は不十分であるため、全身の運動連鎖を確認するために以下の項目を評価しました。
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立位姿勢のアライメント
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片脚立ちバランス
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体幹の回旋・伸展可動性
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股関節の内外旋可動域
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下肢筋群の柔軟性と筋力
その結果、以下のような特徴が明らかになりました。
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左脚での片脚立ちが不安定で、骨盤が外側へ逃げやすい
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身体を後方へ反らす動作で骨盤の伸展が乏しい
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左方向への回旋動作で重心移動がスムーズに行えない
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右股関節前面に詰まり感があり可動域制限がある
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大腿直筋およびハムストリングスの柔軟性低下
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右腸腰筋の筋力低下
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左中殿筋の筋力低下
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左腓腹筋の筋出力低下
また、ふくらはぎの重篤な損傷を疑う所見として行ったトンプソンテストは陰性であり、アキレス腱断裂などの重大な損傷は否定的でした。
これらの評価から、局所の筋損傷というよりも「運動連鎖の破綻による過負荷」が疑われました。
左ふくらはぎに負担が集中した原因
ランニング動作は、単純に脚を前に出す運動ではなく、股関節・骨盤・体幹が連動して行われる全身運動です。
今回の症例では、左ふくらはぎそのものの問題ではなく、以下のような複合的要因が重なっていました。
まず、右股関節の可動性低下により、右脚支持時の安定性が低下していました。その結果、走行中の重心移動がスムーズに行えず、左右の荷重バランスが崩れていました。
さらに、左中殿筋の筋力低下により、左脚で接地した際の骨盤安定性が不足していました。本来であれば中殿筋が骨盤を水平に保つ役割を担いますが、その機能が低下していたため、着地時に骨盤が不安定となり、ふくらはぎが代償的に働く状態となっていました。
また、片脚立ちの不安定性により、接地時の衝撃吸収が股関節や体幹ではなく、下腿部に集中していました。
これらの要因が重なった結果、15kmという距離を走る中で徐々に負荷が蓄積し、最終的に左腓腹筋外側頭へ過剰なストレスが集中したと考えられます。
つまり今回の痛みは「ふくらはぎの局所障害」ではなく、「股関節・骨盤機能低下による二次的障害」と捉えることが重要でした。
実施した施術と運動
評価結果をもとに、局所と全身の両面からアプローチを行いました。
まず、骨盤と股関節の可動性改善を目的として手技療法を実施し、関節の滑走性とアライメントの調整を行いました。
次に、以下の部位へハイボルト療法を用いて神経筋機能の改善を図りました。
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腰部
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腸腰筋
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中殿筋
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仙腸関節
これにより、筋出力の低下している部位の活性化と疼痛抑制を同時に狙いました。
さらに左ふくらはぎには立体動態波を使用し、局所の循環改善と筋緊張の緩和を図りました。
加えて、以下の運動療法を実施しました。
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ふくらはぎのストレッチング
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ヒップアブダクション(中殿筋強化)
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片脚支持トレーニング
特にヒップアブダクションでは、左中殿筋の再教育を目的とし、骨盤安定性の再獲得を重視しました。
施術後の変化
施術後の再評価では、右股関節の内旋制限に明らかな改善がみられ、可動域が拡大しました。
また、ハイボルト施術後には体幹の安定性が向上し、患者さん自身も「身体が軽くなり、重心が上に上がった感じがする」「歩くときの安定感が全然違う」と変化を実感されていました。
立体動態波とストレッチを併用した左ふくらはぎの処置後には、荷重時の張り感が大幅に軽減し、歩行時の違和感もほぼ消失しました。
さらにヒップアブダクション後には、片脚立ち時の骨盤安定性が向上し、ふくらはぎへの過剰な負担が軽減されていることが確認できました。
フルマラソン完走に向けて
患者さんの最終目標は、8月30日に開催されるフルマラソンを制限時間内で完走することです。
しかし、今回のようなケースでは、痛みが一時的に軽減したとしても、すぐに長距離走へ復帰することは再発リスクを高める可能性があります。
そのため今後は、
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ふくらはぎの負荷管理
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股関節可動域の改善
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中殿筋の筋力強化
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片脚支持能力の向上
これらを段階的に進めながら、短距離のジョギングから慎重に再開していく必要があります。
特に高齢ランナーの場合、回復力や筋力の左右差が影響しやすいため、「痛みがない状態=完全回復」ではない点に注意が必要です。
大会出場という明確な目標があるため、逆算的にトレーニングと施術を組み合わせ、再発予防を最優先に進めていきます。
ランニング中のふくらはぎ痛でお悩みの方へ
ランニング中のふくらはぎ痛は、単なる筋疲労や肉離れだけでなく、股関節や骨盤の機能低下が背景にあるケースが非常に多くみられます。
特に以下のような方は注意が必要です。
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走るとふくらはぎがすぐ張る
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片側だけ痛みが出る
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ストレッチしても改善しない
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長距離走で必ず痛みが出る
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休むと良くなるが再開すると再発する
このような症状は、患部だけの治療では改善しにくく、全身の運動連鎖を評価する必要があります。
大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、痛みのある部位だけでなく、姿勢・関節可動域・筋力バランス・ランニングフォームまで総合的に評価し、根本改善を目指した施術と運動療法を行っています。
「大会に間に合わせたい」「もう一度痛みなく走りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
※症状の改善には個人差があります。強い腫れ・熱感・内出血・安静時痛がある場合は、医療機関での精査が必要となることがあります。









