【症例報告】足首の捻挫後にキックで痛む中学生男子|ATFL損傷と柔軟性・姿勢を評価
2026年09月1日

「足首を捻挫してから、ボールを蹴ると痛い」
「足首の痛みだけでなく、身体が硬いのも気になる」
「猫背や姿勢も改善したい」
今回は、このようなお悩みで住吉駅前サモーナスポーツ整骨院に来院された、中学2年生男子の症例をご紹介します。
約2週間前に足関節を捻挫しており、前距腓靱帯(ATFL)周囲の損傷が疑われました。
来院時には足関節を底屈した際にP.S5程度の痛みがあり、インフロントキック・インサイドキックでも痛みが出現していました。
さらに全身を評価すると、下肢後面の柔軟性低下、骨盤前傾運動の不足、股関節周囲筋の筋力低下、猫背・フォワードヘッド傾向などもみられました。
そこで当整骨院では、足首だけを施術するのではなく、競技復帰と再発予防を見据えて、足関節・股関節・体幹・柔軟性まで含めた評価とアプローチを行いました。
2週間前に足首を捻挫し、キック動作で痛みが残存
患者さんは中学2年生の男子です。
約2週間前に足関節を捻挫しました。
来院時のお悩みは、
-
足関節底屈時の痛み:P.S5
-
インフロントキック時の痛み
-
インサイドキック時の痛み
-
身体の柔軟性を改善したい
-
猫背・フォワードヘッドなどの姿勢を改善したい
というものでした。
足関節の外側捻挫では、前距腓靱帯(ATFL)が損傷されることが多く、今回も受傷機転や症状からATFL周囲の損傷を疑いながら評価しました。
ただし、成長期の足関節外傷では「捻挫」と思われていても骨性損傷が隠れている可能性があります。
特に骨部の強い圧痛、荷重困難、腫脹や疼痛が改善しないなどの所見がある場合には、整形外科での画像検査を検討することも重要です。小児・思春期でもOttawa Ankle Rulesは画像検査の必要性を判断する一つの指標として用いられています。
足関節だけでなく全身の動きを評価
立位・動作評価では、前屈動作で手指と床との距離(FFD)が+30cmあり、著しい柔軟性低下がみられました。
さらに前屈時には、骨盤を前方へ傾ける動きが十分に行えていませんでした。
SLRは約50度。
トーマステストも陽性であり、股関節前面および下肢後面を含めた柔軟性の低下が確認されました。
筋力検査では、
-
腸腰筋:右3+/左3
-
中臀筋:右3/左3+
と、股関節周囲筋の筋力低下もみられました。
一方、今回行った足関節不安定性の検査では明らかな不安定性は確認されませんでした。
ただし、「不安定性テストが陰性=競技復帰して問題ない」という意味ではありません。
足関節捻挫後には、靱帯の機械的不安定性だけでなく、可動域・筋力・バランス能力・固有感覚・競技動作などが低下している場合があります。
足関節捻挫後の競技復帰では、痛みだけではなく、足関節機能、感覚運動機能、本人の安心感、スポーツ動作まで含めて判断するPAASSフレームワークが提案されています。
今回さらに確認しておきたい足関節の評価
医学的な精度をさらに高めるため、今回の症例では今後以下の項目も継続して確認していくことが重要です。
① 腫脹・圧痛部位
ATFL、踵腓靱帯(CFL)、外果・内果、遠位脛腓関節などの圧痛を確認します。
② 足関節背屈可動域
足関節捻挫後は、底屈の痛みだけでなく背屈可動域が十分に戻っているかも重要です。
必要に応じてWeight Bearing Lunge Testなどを用い、左右差を確認します。
③ 足関節安定性
前方引き出しテストや距骨傾斜テストなどを用い、ATFL・CFLを含めた外側靱帯の状態を確認します。
④ 下腿三頭筋の機能
片脚カーフレイズの回数や動作の質を確認し、足関節底屈筋群の筋力・持久力を評価します。
⑤ 片脚バランス・動的バランス
片脚立位やStar Excursion Balance Testなどを使用し、足関節周囲の感覚運動機能を確認します。
⑥ ホップ・方向転換・キック動作
最終的には、
-
ジャンプ
-
着地
-
片脚ホップ
-
サイドステップ
-
切り返し
-
インサイドキック
-
インフロントキック
など、実際の競技に近い動作で痛みや不安定感が出ないか確認する必要があります。
競技復帰は単純な経過日数だけではなく、痛み・可動域・筋力・バランス・競技動作など複数の要素を確認して判断することが重要です。
足首だけでなく股関節・下肢にもアプローチ
初回施術では、
-
腸腰筋へのハイボルト
-
下肢周囲へのアプローチ
-
ATFL周囲への施術
-
背部〜下肢の筋緊張へのアプローチ
-
姿勢改善を目的としたストレッチ
などを行いました。
ハイボルトについては、「靱帯そのものを治す」という位置づけではなく、疼痛反応や動作の変化を確認しながら使用しています。
そのうえで、再発予防のためには施術だけで終了せず、運動療法を組み合わせていくことが重要です。
足関節捻挫後のリハビリでは、筋力・バランス・固有感覚などを含む運動療法が推奨され、再発予防にも重要とされています。
「キソトレ」で柔軟性と身体の使い方を確認
今回は「キソトレ」の評価・指導として、
-
足底へのアプローチ
-
カーフストレッチ
-
ダウンドッグ
-
ジャックナイフ
などを行いました。
目的は単純に「身体を柔らかくする」ことではありません。
スポーツ動作に必要な、
足関節―膝―股関節―骨盤―体幹を連動して動かせる身体をつくること
を目指します。
特に今回の症例ではFFD+30cm、SLR50度、前屈時の骨盤前傾不足がみられていたため、足首だけでなく下肢・股関節を含めた動作改善が必要と判断しました。
初回施術後はFFD+30cmから+15cmへ変化
施術および運動指導後に再評価しました。
来院時には、
FFD:+30cm
でしたが、施術後には、
FFD:+15cm
まで変化しました。
前屈動作に改善がみられています。
また、足関節についてもつま先立ち時の痛みが、
P.S1〜2程度
まで軽減しました。
座位姿勢についても、本人から身体を安定させやすくなった感覚が確認できました。
ただし、これらはあくまでも初回施術直後の変化です。
柔軟性や筋力、動作パターンは1回の施術だけで定着するものではないため、今後も継続して再評価していきます。
「身体が硬い=ケガをする」と単純には考えません
「身体が硬いから捻挫したのでしょうか?」
という質問を受けることがあります。
柔軟性はスポーツ動作を構成する一つの要素ですが、柔軟性が低いことだけを捻挫の原因と断定することはできません。
足関節捻挫には、
-
足関節の可動域
-
筋力
-
バランス能力
-
固有感覚
-
過去の捻挫歴
-
ジャンプ・着地動作
-
切り返し動作
-
疲労
-
競技環境
など複数の要素が関係します。
そのため住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、「身体が硬いからストレッチだけ」という考え方ではなく、実際の身体機能と競技動作を評価して必要な課題を選択することを大切にしています。
猫背・フォワードヘッドも「見た目」だけで判断しない
今回、猫背・フォワードヘッド傾向についてもご相談がありました。
成長期の姿勢については、単純に「良い姿勢」「悪い姿勢」と決めつけるのではなく、
-
座っている時間
-
胸椎の可動性
-
股関節の可動性
-
体幹筋力
-
呼吸
-
日常生活
-
スポーツ時の身体の使い方
などを総合的に評価することが重要です。
今回も座位姿勢の見た目だけを整えるのではなく、楽に安定した姿勢を自分で維持できる身体機能を獲得することを目標にしています。
足関節捻挫は「痛くなくなったら終わり」ではありません
足関節捻挫では、数日〜数週間すると痛みが軽くなり、「もう治った」と感じることがあります。
しかし、痛みが減っていても、
-
足関節の可動域
-
足関節周囲筋の筋力
-
バランス能力
-
固有感覚
-
ジャンプ・着地能力
などが十分に回復していないことがあります。
足関節捻挫後には慢性的な不安定感が残るケースがあり、再発予防のためにもバランス・固有感覚を含めたリハビリが重要です。
特にスポーツをしている中学生では、「痛くない」から「競技で問題なく使える」まで身体を戻すことが重要です。
今後の目標はFFD0cmと競技動作への復帰
今回の患者さんの目標は、
FFD0cmまで柔軟性を改善すること
姿勢を改善すること
です。
加えて住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、
キック・ダッシュ・ジャンプ・切り返しなどを痛みや不安なく行える状態
まで戻すことも重要なゴールと考えています。
今後1か月間のキソトレを通じて、
-
足関節可動域
-
股関節可動域
-
柔軟性
-
股関節・足関節周囲筋力
-
片脚バランス
-
姿勢保持能力
-
キック動作
などを段階的に確認していきます。
住吉駅周辺で中学生・高校生の足関節捻挫にお悩みの方へ
住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、成長期のスポーツ選手の足関節捻挫に対して、痛みが出ている足首だけを見るのではなく、股関節・体幹・柔軟性・バランス・競技動作まで含めて評価しています。
「捻挫して2週間経っても痛みが残っている」
「ボールを蹴ると足首が痛い」
「何度も足首を捻挫してしまう」
「身体が硬くてスポーツに影響している」
「ケガを繰り返さない身体をつくりたい」
このようなお悩みがある方は、住吉駅前サモーナスポーツ整骨院までご相談ください。
痛みを軽減させることだけをゴールにせず、競技へ安全に復帰し、その後もケガを繰り返しにくい身体をつくることを目指してサポートしていきます。
※本記事は一症例を紹介したものであり、同様の症状に対する施術効果を保証するものではありません。成長期の足関節外傷では骨折や骨端線を含む骨性損傷などを伴う場合があります。強い圧痛・腫脹・荷重困難がある場合や、受傷後も痛みが改善しない場合には、整形外科など医療機関での検査をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中学生の足関節捻挫は、どのくらいでスポーツに復帰できますか?
復帰までの期間は、捻挫の程度や痛み、腫れ、可動域、筋力、バランス能力などによって異なります。
単純に「受傷から何週間経ったか」だけで判断するのではなく、
-
歩行や走行で痛みがない
-
足関節の可動域が十分に戻っている
-
片脚立ちやジャンプが安定している
-
切り返しやキック動作で痛みがない
など、実際の競技動作まで確認したうえで段階的に復帰することが大切です。
Q2. 足首の捻挫で痛めやすいATFLとは何ですか?
ATFLとは「前距腓靱帯」のことで、足関節外側にある靱帯の一つです。
足首を内側にひねる一般的な捻挫で負傷しやすく、外くるぶし周囲の痛みや腫れなどがみられることがあります。
ただし、痛みの場所だけでATFL損傷と断定することはできません。圧痛、腫脹、足関節の安定性、受傷状況などを総合的に評価する必要があります。
Q3. 捻挫して2週間経っても痛い場合は大丈夫ですか?
捻挫後2週間で痛みが残っていること自体は珍しくありませんが、痛みの程度や経過を確認することが重要です。
特に、
-
痛みがほとんど改善していない
-
歩くと強く痛む
-
腫れが続いている
-
骨の部分に強い圧痛がある
-
足をつくことが難しい
といった場合は、骨折や骨性損傷などを除外するために整形外科での検査を検討する必要があります。
成長期では大人とは異なる外傷もあるため、自己判断で競技復帰しないことが大切です。
Q4. 痛みがなくなれば、すぐにサッカーへ戻っても大丈夫ですか?
痛みが軽減しただけでは、競技復帰に十分とは限りません。
足関節捻挫後には、痛みがなくても筋力やバランス能力、固有感覚、ジャンプ・着地能力などが十分に戻っていないことがあります。
特にサッカーでは、
-
インサイドキック
-
インフロントキック
-
ダッシュ
-
切り返し
-
ジャンプ
-
着地
などで足関節に大きな負荷がかかります。
これらを問題なく行えるか確認しながら、段階的に競技へ戻していくことが重要です。
Q5. 足首の捻挫なのに、なぜ股関節や体幹まで評価するのですか?
サッカー動作では、足首だけが単独で働いているわけではありません。
走る、蹴る、止まる、方向転換するといった動作では、
足関節→膝→股関節→骨盤→体幹
が連動しています。
股関節の可動性や筋力が低下していると、下肢全体の動作に影響し、足関節へ負担が集中する場合があります。
そのため住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、足首だけでなく全身の動きを確認しています。
Q6. 身体が硬いと足首を捻挫しやすくなりますか?
「身体が硬いから捻挫する」と単純に断定することはできません。
足関節捻挫には、
-
過去の捻挫歴
-
足関節可動域
-
筋力
-
バランス能力
-
固有感覚
-
着地や切り返し動作
-
疲労
など、さまざまな要因が関係します。
柔軟性も身体機能を構成する一つの要素なので、今回のように明らかな柔軟性低下がある場合は、競技動作との関係を確認しながら改善を目指します。
Q7. FFD+30cmとはどのくらい身体が硬い状態ですか?
FFDは立位で前屈した際の指先と床との距離を確認する評価方法です。
今回の「FFD+30cm」は、指先が床から約30cm離れていたことを意味します。
ただし、FFDはハムストリングスの柔軟性だけで決まるものではありません。
股関節、骨盤、脊柱など複数の部位の動きが関係するため、どこが動きにくいのかを詳しく確認することが重要です。
Q8. ストレッチを続ければ姿勢も改善しますか?
ストレッチだけで姿勢が改善するとは限りません。
姿勢には、
-
関節の可動性
-
筋力
-
体幹の安定性
-
長時間の座位
-
日常生活習慣
-
身体の使い方
など複数の要素が関係します。
そのため、身体を柔らかくするだけでなく、「自分で安定した姿勢を維持できる身体機能」を獲得することが大切です。
Q9. 猫背やフォワードヘッドは中学生でも改善できますか?
身体機能や生活習慣に関連した姿勢であれば、改善を目指せる場合があります。
ただし、「姿勢の見た目」だけを無理に矯正するのではなく、胸椎・股関節の可動性や体幹筋力、普段の座り方などを確認することが重要です。
成長期では身体が大きく変化するため、無理に形を固定するのではなく、動きやすく疲れにくい姿勢を目指します。
Q10. 足関節捻挫の再発予防には何をすればいいですか?
再発予防では、痛みを取るだけでなく、足関節の機能を十分に戻すことが重要です。
具体的には、
-
足関節可動域の改善
-
下腿・足部の筋力強化
-
片脚バランストレーニング
-
ジャンプ・着地練習
-
切り返し動作
-
サッカー特有のキック動作
などを段階的に行います。
過去に足関節捻挫をした選手は再発を繰り返すこともあるため、競技復帰後も継続したトレーニングが大切です。
Q11. 中学生の足首の捻挫で病院を受診した方がよい症状はありますか?
以下のような状態がある場合には、整形外科など医療機関への受診を検討してください。
-
足をついて歩くことが難しい
-
強い腫れがある
-
骨の部分を押すと強く痛む
-
変形がみられる
-
痛みが徐々に悪化している
-
数週間経っても症状がほとんど改善しない
成長期では骨端線など大人とは異なる部位を負傷することもあるため、必要に応じて画像検査を受けることも重要です。
Q12. 住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では中学生の足関節捻挫をどのように評価しますか?
住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、痛みが出ている足首だけでなく、
-
足関節の可動域
-
靱帯の安定性
-
股関節の可動性・筋力
-
柔軟性
-
片脚バランス
-
姿勢
-
ジャンプ・着地
-
切り返し
-
キック動作
などを必要に応じて確認します。
目標は「痛みを減らすこと」だけではなく、スポーツへ安全に復帰し、再びケガをしにくい身体をつくることです。
成長期という点も考慮し、整骨院で対応できる範囲を超える可能性がある場合には医療機関への受診をご案内します。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
-
柔道整復師(国家資格)
-
NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
-
NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
-
中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









