中学生の陸上選手の左ハムストリング肉離れ|江東区大島の症例報告
2026年09月19日

陸上競技の短距離走では、スタート直後や加速時に太ももの裏へ急な痛みが出ることがあります。
今回、8月29日の大会中に左太ももの裏を痛め、その後も痛みが続いていた中学1年生・陸上100m選手が、大島駅前サモーナスポーツ整骨院へ来院されました。
症例概要
患者様は10代の男性で、中学1年生です。陸上競技で100mを専門にされています。
大会中、スタートから約30m地点で左ハムストリングに痛みが出現しました。その後、走り切ることはできましたが、競技終了後も痛みが引かず、歩行やしゃがむ動作にも影響がみられました。
本人の目標は、9月13日に予定されている大会への出場です。
今回の評価では、左半腱様筋近位部の1度損傷が疑われる状態でした。
半腱様筋とは
半腱様筋は、太ももの裏側にあるハムストリングを構成する筋肉のひとつです。太ももの内側寄りに位置し、膝を曲げる動作や、走行中に脚を後方へ引き戻す働きに関係します。
来院時のお身体の状態
歩行・動作の確認
歩行時には、左脚をかばう跛行(はこう)がみられました。特に、歩行中に左膝を自然に曲げる動作が出にくい状態でした。
前屈動作では、指先が床に届くFFDは0cmでしたが、動作の最終域で左ハムストリングに痛みが出現しました。
また、スクワット動作でも左太ももの裏に痛みがあり、日常動作にも筋肉の損傷による影響がみられました。
理学検査・触診
左ハムストリングの内側、近位部に圧痛がありました。近位部とは、太ももの付け根に近い部分を指します。
左ハムストリングは中央部から遠位部にかけて緊張が強く、損傷部位をかばうように周辺の筋肉が過剰に働いている可能性が考えられました。
SLRテスト(脚を伸ばした状態で挙上し、神経やハムストリングの伸張性を確認する検査)では、能動的な可動域と他動的な可動域の最終域でストレッチ痛がみられました。
逆SLRでも痛みが出現しました。
柔軟性・筋力の確認
タイトネステストでは、腸腰筋と大腿直筋に硬さがみられました。
また、中臀筋のMMT(徒手筋力検査)は3でした。中臀筋は、骨盤や股関節を安定させるお尻の筋肉です。
患側のハムストリングは、膝を約90度曲げた位置で力を入れた際に収縮痛がみられました。
評価から考えられたこと
今回の症状は、短距離走の加速局面でハムストリングに大きな負荷が加わったことがきっかけになった可能性があります。
短距離走では、ハムストリングが股関節と膝関節をまたいで強く働きます。特に、スピードが上がる場面では、筋肉が伸ばされながら力を発揮するため、負担が大きくなります。
ただし、痛みが出た場所だけが原因とは限りません。
今回の評価では、腸腰筋や大腿直筋の柔軟性、中臀筋の筋力、ハムストリング周辺の筋緊張なども確認しました。骨盤や股関節の安定性が低下すると、走行中にハムストリングへ負担が集中する可能性があります。
なお、エコー検査では大きな筋線維の断裂や出血を疑う所見は確認できませんでした。しかし、エコー所見だけで損傷の程度を完全に判断できるわけではありません。症状、触診、動作、筋力、経過を総合して評価することが重要です。
実施した施術と対応
今回の施術では、以下の対応を行いました。
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患部の痛みを軽減する目的でハイボルト
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ハムストリング遠位部の筋緊張を抑える目的で立体動体波
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患部に対するマイクロカレント
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メンQと弾性包帯による圧迫
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中臀筋を使うヒップアブダクションの指導
施術では、損傷部位へ過度な負荷を加えないことを重視しました。
ハムストリングに痛みがあるからといって、患部を強く伸ばしたり、痛みを我慢して筋力トレーニングを行ったりすると、回復を遅らせる可能性があります。そのため、初期段階では患部外のトレーニングを中心に進めます。
施術後の変化
ハイボルトと立体動体波を実施した後の歩行では、左膝の屈曲が出やすくなり、通常に近い歩行が可能となりました。
また、しゃがむ動作でも痛みが軽減しました。
ただし、施術直後に動作が改善したことと、損傷した筋組織が完全に回復したことは同じではありません。
痛みが一時的に軽減しても、筋肉が走行やダッシュに耐えられる状態まで回復しているとは限らないため、段階的な評価とリハビリが必要です。
今後のリハビリ方針
今週は高頻度での通院を指導し、歩行や日常動作、ハムストリングの収縮痛の変化を確認していきます。
週後半にハムストリングの収縮痛がみられなければ、患部へのリハビリとして、OKC(足先が床から離れた状態で関節を動かす運動)での膝屈曲運動を開始する予定です。
具体的には、側臥位で膝を曲げる運動から、痛みや代償動作を確認しながら進めます。
その後は、
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痛みのない歩行
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軽い膝屈曲運動
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低速のジョギング
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徐々に速度を上げた走行
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加速走・ダッシュ
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競技に近い走動作
というように、段階的に負荷を高めていく必要があります。
9月13日の大会出場を目指していますが、実際の出場可否は、痛みの有無だけでなく、歩行、筋力、ジョギング、加速動作などを確認したうえで慎重に判断します。
肉離れは「痛みが取れた=治った」ではありません
肉離れでは、痛みが軽減するとすぐに運動へ戻りたくなります。
しかし、痛みを感じにくくなった状態と、損傷した組織が競技負荷に耐えられる状態は異なります。特に短距離走では、通常のジョギングよりもハムストリングに大きな負荷が加わります。
痛みを我慢して走る、いきなり全力疾走する、十分な筋力が戻っていない状態で大会へ出場する、といった行動は再発につながる可能性があります。
ハムストリング損傷からの復帰では、痛みの確認だけでなく、筋力・柔軟性・走動作を段階的に確認することが重要です。詳しい復帰基準についても、スポーツ医学の臨床指針で段階的なリハビリの重要性が示されています。参考:JOSPT「Hamstring Strain Injuries」
同じ症状でお悩みの方へ
陸上競技やサッカーなど、走る・跳ぶ・急加速する競技では、ハムストリングの肉離れが起こることがあります。
太ももの裏に急な痛みが出た場合は、痛みを我慢して練習を続けず、まずは運動量を調整しましょう。
特に、
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歩くと痛い
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足を引きずる
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太ももの裏に腫れや皮下出血がある
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膝を曲げると痛い
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力を入れると痛みが出る
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痛みが数日たっても改善しない
といった場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。
中学生など成長期の選手では、筋肉だけでなく骨や成長部位の状態を考慮する必要があります。臀部に近い強い痛み、急激な悪化、歩行困難、明らかな腫れや出血がある場合は、保護者と情報を共有し、医療機関の受診を優先してください。
江東区・大島周辺で陸上競技によるハムストリングの痛みや肉離れにお悩みの方は、大島駅前サモーナスポーツ整骨院へご相談ください。
※本記事は一例を紹介したものであり、すべての方に同じ経過や結果が得られるものではありません。
FAQ
Q1. 肉離れをしても歩ける場合は、軽症ですか?
歩ける場合でも、筋肉に損傷が起きている可能性はあります。歩行できるかどうかだけで重症度を判断せず、痛み・筋力・可動域・動作を総合的に確認する必要があります。
Q2. 痛みがなくなれば走っても大丈夫ですか?
痛みがなくても、筋力や走動作が十分に回復していない場合があります。まずは歩行、軽い運動、ジョギング、加速走の順に段階的に確認しましょう。
Q3. ハムストリングの肉離れにストレッチは必要ですか?
損傷直後に強く伸ばすと、患部へ負担がかかることがあります。時期や損傷状態によって適切な方法が異なるため、自己判断で強いストレッチを行わないようにしましょう。
Q4. 肉離れはどのくらいで復帰できますか?
損傷部位や範囲、筋力、競技種目、リハビリの進み具合によって異なります。期間だけで判断せず、競技動作に耐えられる状態かを確認することが大切です。
Q5. 再発を防ぐには何が必要ですか?
患部の筋力回復だけでなく、中臀筋などの股関節周囲の筋力、柔軟性、走り方、練習量、疲労状態などを総合的に見直すことが重要です。
Q6. 大会が近い場合はどうすればよいですか?
大会に出たい気持ちは大切ですが、痛みを隠して出場することは再損傷につながる可能性があります。歩行やジョギング、加速走などを段階的に確認し、安全性を優先して判断しましょう。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
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柔道整復師(国家資格)
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NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
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中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









