【症例報告】起床時の両腕のしびれ・肩こり|胸郭出口症候群が疑われたケース
2026年08月23日

「朝起きると両腕がしびれる」「腕を上げると肩の後ろにつまりを感じる」「肩こりがなかなか取れない」
このようなお悩みで、大島駅前サモーナスポーツ整骨院に来院された方の症例をご紹介します。
今回のケースでは、胸郭出口症候群(TOS)を疑う所見が複数みられました。一方で、顔のむくみや目が腫れたように感じるといった症状もあったため、筋肉や姿勢だけが原因と決めつけず、循環器系や神経系の疾患も含めて慎重に評価し、医療機関での検査もおすすめしています。
起床時の両上肢のしびれが約4か月前から出現
主なお悩みは、起床時に生じる両上肢のしびれです。
症状は約4か月前からみられ、来院する4〜5日前から悪化していました。
しびれの特徴としては、
- 朝起きた直後に強く出る
- 日中は軽減するが疲労で再出現する傾向
- 両側性(左右同時)に出る
という点があり、単純な末梢神経障害よりも姿勢・循環・胸郭周囲の圧迫要因が関与している可能性が考えられました。
さらに、
- 腕を上げた際の肩関節後方のつまり感
- 強い肩こり(特に僧帽筋上部〜肩甲間部)
- 肩こりが悪化した際の顔のむくみ
- 目が腫れたように感じる感覚
なども訴えられていました。
これらは単なる筋疲労だけでなく、胸郭出口部での静脈還流障害や自律神経的な影響も疑う必要がある所見です。
身体を確認すると、胸部周囲(小胸筋・肋間筋・鎖骨下周囲)に強い筋緊張がみられ、胸郭の拡張性低下が疑われました。
そのため当院では、施術だけで原因を断定せず、循環器系・神経系の疾患の可能性も考慮し、医療機関での精査を推奨しました。
肩だけではなく全身の動きを評価
腕のしびれがある場合、首や肩だけを確認するのでは不十分なことが多くあります。
特に胸郭出口症候群が疑われる場合は、
- 胸郭の可動性
- 肩甲骨の安定性
- 鎖骨の動き
- 呼吸パターン
- 骨盤・股関節の連動
まで評価する必要があります。
今回も、立位姿勢から体幹・股関節・胸郭・肩甲骨まで全身の動きを確認しました。
前屈では指先が膝付近までとなっており、体幹の屈曲可動性低下がみられました。
後屈では腰椎伸展よりも膝屈曲で代償する動きが強く、股関節伸展制限または体幹安定性低下が示唆されました。
回旋動作では特に右回旋に制限があり、胸椎回旋の硬さが疑われました。
腕を上げる動作では、肩関節単独の挙上ではなく肩甲骨の過剰挙上が優位となり、右側には翼状肩甲(肩甲骨内側縁の浮き上がり)が確認されました。
これは前鋸筋や下部僧帽筋の機能低下が関与している可能性があります。
胸郭出口症候群を疑う所見を確認
胸郭出口症候群とは、首から腕へ向かう神経や血管が通る胸郭出口部で圧迫や牽引が起こり、しびれ・だるさ・循環障害などが生じる状態の総称です。
今回実施したTOS関連の理学検査では、いずれも陽性反応が確認されました。
ただし、TOSの検査は単独で確定診断にはならず、複数検査の組み合わせと症状の再現性が重要です。
一方で、
- 頸椎に明らかな神経学的異常所見なし
- 腱反射は正常
- MMTで明らかな筋力低下なし
という結果でした。
ただし右上肢の筋力評価時には、肩甲骨の過剰挙上や体幹側屈による代償がみられ、純粋な筋力低下ではなく運動制御の問題が疑われました。
また、
- HFT・CATで右側の著明な可動域制限
- トーマステスト陽性(腸腰筋・大腿直筋の短縮)
などが確認され、下肢由来の骨盤前傾パターンが上半身の過緊張に影響している可能性も考えられました。
左股関節についても内旋・外旋ともに制限があり、結果として骨盤〜胸郭〜肩甲帯の連動性低下が全体的にみられました。
首・胸郭周囲には強い筋緊張
触診では以下の筋群に強い緊張が確認されました。
- 斜角筋(特に前・中斜角筋)
- 胸鎖乳突筋
- 鎖骨下筋
- 小胸筋
- 胸部筋群
- 広背筋
- 大円筋
- 肩甲下筋
- 肩甲挙筋
これらはすべて胸郭出口周囲に関与し、神経・血管の通過スペースに影響する重要な筋群です。
特に小胸筋・斜角筋の過緊張は、神経性TOS・血管性TOSの両方に関与する可能性があります。
ただし理学検査陽性=確定診断ではないため、当院では必ず全身評価と症状経過を組み合わせて判断しています。
股関節・体幹から肩甲帯まで施術
今回の施術では局所ではなく、運動連鎖の改善を目的としました。
まず骨盤・下肢に対して、
- 大腿筋膜張筋
- 中臀筋前部
- 腸腰筋
- 外側広筋
へアプローチし、骨盤前傾・回旋パターンの改善を図りました。
続いて胸郭・肩甲帯に対して、
- 肩甲骨モビライゼーション
- 胸椎伸展・回旋改善手技
- 広背筋
- 大円筋
- 肩甲下筋
- 三角筋前部線維
- 肩甲挙筋
- 小胸筋
- 鎖骨下筋
などへ施術を行いました。
さらに仰臥位で頸部を評価しながら、斜角筋・胸鎖乳突筋のリリースを実施しました。
初回施術後の変化
評価・施術中には、主訴である両上肢のしびれは再現されませんでした。
施術後の再評価では、
- 体幹回旋の改善
- 肩甲骨の挙上代償の減少
- 上肢挙上時のスムーズさ向上
が確認されました。
ただし起床時のしびれは来院時に消失していたため、短期的な変化の評価はできず、今後の経過観察が必要です。
自宅では胸部ストレッチと姿勢リセットを指導
セルフケアとして胸部ストレッチを指導しました。
特に重要なのは、
- 小胸筋ストレッチ
- 胸椎伸展エクササイズ(側屈・回旋からアプローチ)
- 肩甲骨下制トレーニング
です。
またデスクワーク時には、
20分に1回、2分間の離席・姿勢変換
を推奨しています。
両腕のしびれは「肩こりだから」と決めつけないことも大切です
腕のしびれは単なる肩こりではなく、
- 神経圧迫
- 血流障害
- 姿勢性ストレス
- 呼吸パターン異常
- 全身の運動連鎖異常
が関与することがあります。
特に今回のような
- 両側性のしびれ
- 顔のむくみ
- 起床時症状
は注意が必要です。
以下の場合は医療機関の受診が推奨されます。
- 急激な悪化
- むくみの増強
- 呼吸苦
- 明らかな筋力低下
- 持続するしびれ
大島駅周辺で腕のしびれ・肩こりにお悩みの方へ
大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、局所ではなく全身の運動連鎖を評価し、原因を多角的に分析しています。
また、整骨院で対応可能な範囲か、医療機関での精査が必要かを慎重に判断しています。
- 朝のしびれ
- 肩のつまり
- 慢性的な肩こり
- 姿勢の崩れ
でお悩みの方はご相談ください。
※本症例は一例であり、効果を保証するものではありません。症状に応じて医療機関の受診を優先する場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 朝起きたときに両腕がしびれる原因は何ですか?
起床時の腕のしびれには、寝ている姿勢による神経への圧迫や、首・肩・胸郭周囲の筋緊張など、さまざまな要因が考えられます。
胸郭出口症候群や頸部由来の問題などが関係する場合もありますが、両腕に症状が出る場合は筋骨格系以外の原因も考慮する必要があります。しびれが続く、悪化している、筋力低下などを伴う場合は医療機関での検査も重要です。
Q2. 胸郭出口症候群(TOS)とはどのような症状ですか?
胸郭出口症候群(TOS)は、首から腕へ向かう神経や血管が通る胸郭出口周辺で圧迫や牽引などが生じ、腕や手のしびれ、だるさ、肩周囲の痛みなどが現れる状態の総称です。
症状や原因には個人差があり、理学検査だけで確定できるものではありません。そのため、症状の経過や神経学的所見なども含めた総合的な評価が必要です。
Q3. 肩こりが原因で腕がしびれることはありますか?
肩こりと腕のしびれが同時にみられることはあります。
ただし、「肩こりがあるから、それがしびれの原因」とは一概に判断できません。首、胸郭、肩甲骨周囲の状態や神経への影響など、複数の要因を確認することが大切です。
Q4. 腕のしびれがある場合、整骨院に行っても大丈夫ですか?
姿勢や身体の動き、筋肉・関節の状態が関係しているケースでは、整骨院で身体機能を評価できる場合があります。
一方、急激なしびれの悪化、明らかな筋力低下、強いむくみ、息苦しさ、胸部症状などを伴う場合には、整骨院での施術よりも医療機関での検査を優先する必要があります。
大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、身体を評価したうえで、必要と判断した場合には医療機関への受診をご案内しています。
Q5. なぜ腕のしびれなのに股関節や体幹まで評価するのですか?
腕を上げる動作には、肩関節だけでなく肩甲骨、胸郭、背骨、骨盤など全身の動きが関係しています。
例えば胸椎の回旋や伸展が十分に行えないと、肩甲骨や肩関節が必要以上に動きを補うことがあります。
そのため当整骨院では、症状が出ている場所だけではなく、身体全体の動作や連動性を確認しながら問題点を探していきます。
Q6. 胸郭出口症候群はストレッチで改善しますか?
胸部や首周囲の柔軟性を改善するストレッチが、身体機能を整えるために役立つ場合があります。
ただし、胸郭出口症候群にはさまざまなタイプがあり、すべての方に同じストレッチが適しているわけではありません。
今回の症例では身体の状態を確認したうえで、胸部周囲のストレッチと、デスクワーク中に定期的に姿勢を変えることをお伝えしました。
Q7. デスクワークは腕のしびれや肩こりに関係しますか?
長時間同じ姿勢を続けることで、首・肩・胸郭周囲に負担が集中する可能性があります。
特に前かがみの姿勢や肩が前方に出た状態が長く続く方は、こまめに姿勢を変えることが大切です。
今回の症例では、20分に1回を目安に約2分間立ち上がり、身体を動かして姿勢をリセットするようお伝えしました。
Q8. 腕のしびれと顔のむくみが同時にある場合は注意が必要ですか?
注意が必要な場合があります。
腕のしびれや顔のむくみは、必ずしも筋肉や姿勢だけが原因とは限りません。特に両腕のしびれとむくみが同時にみられる場合や、症状が悪化している場合には、循環器系や神経系なども含めて医療機関で評価を受けることが重要です。
今回の症例でも、安全面を考慮して医療機関での検査をおすすめしています。
Q9. 腕のしびれはどのくらい続いたら病院を受診した方がいいですか?
期間だけで判断するのではなく、症状の強さや変化、随伴症状を確認することが重要です。
特に、しびれが急激に悪化した場合や、筋力低下、強い痛み、息苦しさ、胸部症状、強いむくみなどを伴う場合には、早めに医療機関へ相談してください。
症状が長期間続いている場合についても、一度医療機関で原因を確認することをおすすめします。
Q10. 大島駅前サモーナスポーツ整骨院では腕のしびれをどのように評価しますか?
大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、しびれが出ている腕だけでなく、頸部、胸郭、肩甲骨、体幹、股関節などを含めた全身の姿勢・動作を確認します。
また、筋力や反射、各種理学検査などを必要に応じて行い、施術の適応範囲について慎重に判断します。
整骨院での施術だけで判断すべきではない症状が疑われる場合には、医療機関での検査をおすすめし、安全性を優先した対応を行っています。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
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柔道整復師(国家資格)
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NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
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中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









