【症例報告】アメフト練習後に腰を反ると痛い30代男性|伸展・回旋で痛む腰痛
2026年10月2日

「アメフトの練習後から腰が痛い」
「腰を反ったり身体を捻ったりすると痛みが出る」
スポーツ後に起こる腰痛では、単純な筋肉の疲労だけでなく、股関節の柔軟性、体幹・骨盤周囲の筋機能、競技中の動作など、複数の要素が関係している可能性があります。
今回は、江東区の大島駅前サモーナスポーツ整骨院に来院された、アメリカンフットボールの練習後から腰痛が出現した30代男性の症例をご紹介します。
評価では、特に腰を反る「伸展動作」と身体を右へ捻る「右回旋動作」で痛みが再現されました。
神経症状を確認する検査では明確な陽性所見がみられず、ハムストリングス・腸腰筋の柔軟性や股関節周囲の筋力などを確認したうえで施術を行いました。
30代男性|アメフトの練習後から腰痛を発症
来院時のお悩み
患者さんは30代男性です。
9月13日にアメリカンフットボールの練習を行い、その後から腰に痛みが出現しました。
患者さんの目標は明確で、
「試合前までに腰の痛みをなくしたい」
というものでした。
スポーツ選手の場合、安静時の痛みがなくなるだけでは十分ではありません。
アメフトでは、走る・切り返す・身体を捻る・接触に耐えるなど、日常生活よりも腰部や股関節に大きな負荷がかかります。
そのため今回は、痛みの有無だけでなく、どの方向への動きで腰痛が再現されるのかを確認しました。
腰を反る・右へ捻る動作で腰痛を確認
立位で腰部の動きを評価すると、
- FFD:拳1個分
- 後屈:痛みあり
- 右回旋:痛みあり
という状態でした。
また、立位姿勢では前重心傾向がみられました。
FFD(指床間距離)は、立った状態から前屈し、手と床との距離を確認する評価です。
今回は床まで拳1個分ほどの距離が残っていました。
特徴的だったのは、前屈よりも腰を反る伸展動作と右へ身体を捻る回旋動作で痛みが出たことです。
そのため今回は、伸展・回旋動作で症状が誘発される腰痛として評価を進めました。
腰痛に対して行った理学検査
今回、腰椎や神経症状について以下の検査を行いました。
ラセーグテスト・SLRテストは陰性
- ラセーグテスト:陰性
- SLRテスト:陰性
SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、仰向けで膝を伸ばした状態から脚を上げ、腰から下肢へ向かう神経への負荷によって症状が再現されるかなどを確認する検査です。
今回は明確な神経症状は誘発されませんでした。
FNSテストは陰性
FNSテスト:陰性
FNSテスト(大腿神経伸張テスト)は、大腿神経や上位腰椎神経根への負荷による症状を確認する検査です。
こちらも明確な陽性所見はありませんでした。
トーマステストは陰性
トーマステスト:陰性
トーマステストは、股関節前面の柔軟性などを確認するために用いる検査です。
ケンプテストでは右回旋時に腰痛
ケンプテストでは、典型的な下肢への放散症状はみられませんでしたが、右回旋を加えた際に腰部の痛みが再現されました。
腰椎の伸展・回旋によって症状が誘発されることを確認するうえで、一つの所見として捉えています。
HBDでは痛みを確認
HBD(踵殿距離)では明確な距離の異常はありませんでしたが、検査時に痛みが確認されました。
そのため、単純に柔軟性だけを見るのではなく、どの動きでどこに痛みが生じるのかを確認しました。
ハムストリングス・腸腰筋にタイトネスを確認
柔軟性評価では、
ハムストリングス
腸腰筋
にタイトネスがみられました。
腸腰筋は腰椎から股関節周辺につながる筋肉で、股関節運動や腰椎・骨盤のコントロールにも関係します。
ハムストリングスも骨盤の動きと関係するため、スポーツ動作を評価するうえでは重要です。
ただし、「腸腰筋やハムストリングスが硬いから腰痛になった」と原因を断定することはできません。
実際には、腰椎・骨盤・股関節の可動性や筋力、アメフトでの動作などを総合的に考える必要があります。
腸腰筋・中殿筋の筋力を評価
MMT(徒手筋力テスト)では、
中殿筋:4
腸腰筋:3
でした。
MMTは、筋肉がどの程度力を発揮できるかを評価する方法です。
中殿筋は片脚で身体を支えたり、走行や方向転換時に骨盤を安定させたりする際に重要です。
腸腰筋は股関節を曲げる動きなどに関係します。
アメフトでは、加速・減速・方向転換・コンタクトなどで体幹と股関節を協調させる必要があります。
今回の筋力所見についても、腰だけではなく身体全体の機能を把握するための情報として評価しました。
アメフト練習後の腰痛に何が関係していたのか
今回の身体評価では、
・腰椎伸展で痛みが出る
・右回旋で痛みが出る
・前重心傾向
・ハムストリングス、腸腰筋のタイトネス
・腸腰筋、中殿筋の筋力低下
・神経伸張検査では明確な陽性所見なし
という特徴がありました。
これらから、腰だけに問題を限定せず、腰椎・骨盤・股関節周囲の機能が腰部への負荷に関係している可能性を考えました。
一方、アメフトはコンタクトを伴う競技です。
練習中の衝突や転倒などの外傷機転がある場合や、伸展・回旋時痛が長期間続く場合には、筋肉だけではなく腰椎の骨性病変なども考慮する必要があります。
大島駅前サモーナスポーツ整骨院で行った施術
身体評価をもとに、
- 骨盤矯正
- 腸腰筋へのハイボルト施術
- 臀部・ハムストリングス・股関節外旋筋への手技療法
- 大腿四頭筋・腸腰筋への手技療法
を行いました。
痛みについてはPS(Pain Scale:痛みの程度を数値化した指標)を用いて、施術の途中でも動作を再評価しました。
骨盤矯正後に腰痛がPS10から1へ変化
施術前の腰痛をPS10として評価しました。
骨盤矯正後に再び症状が出ていた動作を確認すると、
PS10 → 1
まで痛みが軽減しました。
さらに腸腰筋周辺へハイボルト施術を行い再評価すると、
PS1 → 0
となり、施術直後には来院時にみられた痛みを感じない状態まで変化しました。
ただし、これは初回施術直後の結果です。
施術直後に痛みがなくなったことと、競技へ安全に復帰できることは同じではありません。
痛みがなくなっても「試合に出られる」とは限らない
患者さんの目標は、
「試合前に腰の痛みをなくすこと」
でした。
しかしアメフトへの復帰を考える場合には、診察室で腰を反って痛くないことだけでは不十分です。
実際の競技では、
・ダッシュ
・急停止
・方向転換
・腰部の回旋
・低い姿勢からの加速
・相手とのコンタクト
など、腰部にさまざまな負荷が加わります。
そのため本来は、痛みだけでなく、競技動作を段階的に確認してから復帰を判断することが重要です。
スポーツによる腰痛は「姿勢を正せば改善する」とは限らない
腰痛があると、
「姿勢が悪いから腰が痛い」
「インナーマッスルが弱いから腰痛になった」
と説明されることがあります。
しかし、腰痛はそれほど単純ではありません。
スポーツによる腰痛には、
・練習量や負荷
・腰椎の動き
・股関節可動域
・筋力
・競技動作
・疲労
・過去のケガ
など複数の要素が関係する可能性があります。
体幹筋を鍛えることが有効なケースはありますが、「インナーマッスルを鍛えれば腰痛が治る」と一律に考えるのではなく、その選手に必要な機能を評価して運動を選択することが重要です。
アメフトで腰を反る・捻ると痛い場合に追加したい評価
今回の症例では初回施術で大きな変化がみられましたが、競技復帰を考えるなら追加評価も重要です。
特に、
・練習中のコンタクトや転倒の有無
・腰椎棘突起、椎間関節周囲の圧痛
・股関節伸展・回旋可動域
・胸椎回旋可動域
・片脚立位
・スクワット
・ランジ
・方向転換
・ランニング
・競技姿勢での症状再現
などを確認すると、競技復帰までの課題がより明確になります。
また、下肢のしびれや筋力低下、膀胱・直腸障害、安静にしていても強い痛みが続く、強い外傷後から症状が続いているなどの場合には、整形外科など医療機関での評価を優先します。
江東区・大島でスポーツによる腰痛にお悩みの方へ
スポーツ後に腰が痛くなった場合、痛い場所だけをマッサージすればよいとは限りません。
特にアメフトのように、走る・捻る・コンタクトするといった複数の動作が必要な競技では、腰椎だけでなく股関節・骨盤・胸椎・体幹などを含めて身体機能を確認することが重要です。
江東区の大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、痛みが出ている場所だけではなく、姿勢・関節可動域・筋力・柔軟性・スポーツ動作などを確認しながら、症状に関連する可能性のある要素を評価しています。
アメフト・スポーツによる腰痛についてよくある質問
Q1. アメフトの練習後に腰が痛くなる原因は何ですか?
筋肉への負荷だけでなく、腰椎・股関節の可動性、体幹機能、疲労、コンタクト、競技動作など複数の要素が関係する可能性があります。
原因を一つに決めつけず、症状が出る動作を確認することが重要です。
Q2. 腰を反ると痛いのは筋肉が原因ですか?
筋肉が関係する場合もありますが、腰椎の椎間関節や骨性組織などが関係する可能性もあります。
特に伸展・回旋時の痛みが続く場合には、必要に応じて医療機関での評価も検討します。
Q3. 腰痛がなくなればすぐアメフトに復帰できますか?
痛みがなくなったことだけでは競技復帰の判断として十分ではありません。
走行、方向転換、コンタクトなど、競技で必要となる動作を段階的に確認することが大切です。
Q4. 腰痛には体幹トレーニングが必要ですか?
体幹トレーニングが役立つケースはあります。
ただし、すべての腰痛に同じ体幹トレーニングが必要とは限りません。
股関節や胸椎の可動性、筋力、競技動作などを評価して必要な運動を選択します。
Q5. スポーツ後の腰痛は冷やした方がいいですか?
症状や受傷状況によって対応は異なります。
強い打撲や急性外傷がある場合などは自己判断せず、身体の状態を確認することが重要です。
Q6. どんな腰痛なら病院を受診した方がいいですか?
強い外傷後の腰痛、下肢のしびれや筋力低下、排尿・排便の異常、安静時にも強い痛みが続く場合などは医療機関での評価を優先してください。
まとめ|アメフトの腰痛は「痛みを取る」だけでなく競技動作まで評価する
今回の症例は、アメフトの練習後から腰痛が出現した30代男性です。
身体評価では、腰椎伸展・右回旋で痛みが再現され、ハムストリングス・腸腰筋のタイトネスや股関節周囲の筋力低下などが確認されました。
身体評価をもとに骨盤周囲、腸腰筋、臀部などへ施術を行い、施術直後には腰痛がPS10から0まで変化しました。
ただし、これは施術直後の結果であり、競技復帰を保証するものではありません。
アメフトへの復帰では、痛みの有無だけでなく、走る・捻る・方向転換する・コンタクトするといった実際の競技動作まで確認することが重要です。
大島駅前サモーナスポーツ整骨院では、スポーツによる腰痛に対しても「痛い腰だけ」を見るのではなく、股関節・骨盤・胸椎・筋力・柔軟性・競技動作まで含めて身体を評価しています。
※本記事は大島駅前サモーナスポーツ整骨院で対応した一症例を、個人が特定されない形で紹介しています。症状や施術後の変化には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
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柔道整復師(国家資格)
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NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
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中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









