育児中の低い姿勢で悪化した慢性腰痛|30代男性の症例【江東区・住吉駅前】
2026年10月6日

「以前から腰痛があり、子どものお世話で低い姿勢になると腰がつらい」
慢性的な腰痛がある方の中には、床での育児や中腰姿勢、抱っこなどをきっかけに痛みが強くなる方もいます。
今回は、慢性的に腰痛があり、低い姿勢でお子さんのお世話をしていた際に痛みが強くなったため、江東区・住吉駅前サモーナスポーツ整骨院へ来院された30代男性の症例をご紹介します。
この症例では腰だけを見るのではなく、姿勢、股関節周囲の柔軟性、筋力、骨盤の左右差などを確認しました。
※以下は実際の一症例です。同じ腰痛でも身体の状態や背景は異なります。
育児中の低い姿勢で腰が痛くなるのはなぜ?
腰痛は一つの原因だけで起こるとは限りません。
長時間の姿勢、腰や股関節の動かし方、筋肉の柔軟性、筋力、日常生活での負荷など、複数の要素が関係することがあります。
特に床に座る、しゃがむ、中腰になるといった育児動作では、股関節や骨盤周囲の動きや筋力の状態によって、腰部に負担が集中することがあります。
今回の症例でも、腰部だけでなく、股関節周囲の筋肉の硬さ、筋力低下、姿勢の特徴が確認されました。
症例概要
30代男性で、以前から慢性的な腰痛がありました。
来院当日は、低い姿勢でお子さんのお世話をしていたところ腰痛が強くなったとのことでした。
患者さんのゴールは、「痛みなく育児ができるようになること」です。
育児では、抱っこだけでなく、床でのお世話、着替え、オムツ交換、子どもと遊ぶ際のしゃがみ込みなど、低い姿勢や中腰になる場面が多くあります。
そのため、単純に腰の痛みだけを確認するのではなく、こうした姿勢を支える股関節や骨盤周囲の状態も評価しました。
来院時の身体評価
立位姿勢では、下位交差症候群と呼ばれる姿勢パターンが確認されました。
下位交差症候群とは、腰・骨盤周囲の筋肉の柔軟性や筋力バランスなどによって、骨盤や腰部の姿勢に特徴がみられる状態を表す言葉です。
ただし、この姿勢があること自体を腰痛の原因と断定することはできません。
今回も、姿勢だけでなく、動作、筋力、柔軟性、理学検査などを合わせて身体の状態を確認しています。
前屈・後屈時の状態
FFD(Finger Floor Distance:立った状態で前屈し、指先と床との距離を確認する柔軟性の目安)は1〜3cmでした。
腰を前に曲げる前屈動作と、後ろへ反らす後屈動作の両方で痛みがあり、前屈よりも後屈で痛みが強く出る状態でした。
このように「どの方向で痛みが強くなるか」を確認することも、腰痛を評価するうえで重要なポイントです。
理学検査では何が確認されたのか?
神経や股関節、骨盤周囲の状態を確認するために複数の理学検査を行いました。
FNS(大腿神経伸張テスト)は陰性でした。
SLRテスト(脚を上げ、腰から脚へ伸びる神経やハムストリングスなどの状態を確認する検査)も陰性でした。
股関節や骨盤周囲の状態を確認するパトリックテスト、仙腸関節周囲へのストレスを確認するニュートンテストも陰性でした。
一方、股関節前面の柔軟性などを確認するトーマステストは陽性でした。
また、太もも前面の柔軟性を確認するHBD(Heel Buttock Distance:かかととお尻の距離を見る評価)では、拳3個分の距離がありました。
この結果から、今回の症例では神経症状を強く疑う所見よりも、股関節周囲の柔軟性に注目すべき所見が確認されました。
股関節周囲にはどのような特徴があったのか?
柔軟性を確認すると、
腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋
に硬さがみられました。
腸腰筋は腰椎や骨盤から大腿骨へつながり、股関節を曲げる動きなどに関係する筋肉です。
大腿四頭筋は太ももの前側、ハムストリングスは太ももの後ろ側にあり、ともに股関節や膝関節の動きに関わります。
殿筋はお尻にある筋肉で、股関節を動かしたり、立位や歩行時に骨盤を安定させたりする役割があります。
つまり今回の症例では、腰だけではなく、骨盤を挟んで上下につながっている股関節周囲にも複数の柔軟性の課題が確認されました。
筋力評価では何が分かったのか?
MMT(徒手筋力検査:筋肉の力を段階的に確認する評価)では、
腸腰筋が4、中殿筋が4
という結果でした。
一般的なMMTでは5を基準として評価するため、今回の検査では腸腰筋と中殿筋に筋力低下が確認されました。
中殿筋は、歩行や片脚で身体を支える際などに骨盤を安定させる重要な筋肉です。
腸腰筋も股関節の動作や骨盤・腰部周囲の機能と関係します。
さらに立位では、左側の骨盤が下がっている左右差も確認されました。
今回の慢性腰痛について評価から考えたこと
今回重要だったのは、「腰が痛いから腰だけを施術する」という考え方ではなく、腰に負担をかけている可能性のある周囲の身体機能まで確認したことです。
評価では、腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋などの柔軟性低下がみられました。
さらに、腸腰筋と中殿筋の筋力低下、骨盤の左右差、下位交差症候群と呼ばれる姿勢パターンも確認されています。
今回のように低い姿勢で育児をしている際には、股関節や骨盤を大きく使う必要があります。
その際、股関節周囲の柔軟性や筋力に課題があると、動きを腰部で補う場面が増え、腰への負担につながっていた可能性があります。
ただし、慢性腰痛の原因を筋力低下や姿勢不良だけで説明することはできません。
慢性腰痛には身体機能だけでなく、日常生活で繰り返している動作、仕事環境、運動量など、さまざまな要素が関係する場合があります。
そのためSAMONAでは、一つの検査結果から原因を決めるのではなく、複数の評価を組み合わせながら身体の状態を整理します。
今回行った施術
今回行った施術は、
骨盤矯正、ハイボルト、手技
です。
施術では、単に一通りの施術を行って終了するのではなく、途中で前屈・後屈動作を再確認しながら、痛みがどのように変化するかを確認しました。
まず骨盤矯正を行った後、前屈・後屈時の痛みを再評価しました。
その後、下肢に対する施術を行い、さらに大腿筋膜張筋(TFL)、中殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、腸腰筋に対して手技を行いました。
今回の評価で確認された腰以外の部位も含めながら施術を進めています。
施術後の変化
今回、前屈・後屈時の痛みをPS(Pain Scale:痛みを0〜10で表す指標)で確認しながら施術を進めました。
施術前の痛みをPS10とした状態から、骨盤矯正後にはPS8まで変化しました。
その後、下肢への施術を行うと、痛みはPS8からPS2へ変化しました。
さらに、大腿筋膜張筋、中殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、腸腰筋への手技を行った後には、前屈・後屈時の痛みはPS2からPS0となりました。
つまり今回の症例では、腰そのものだけではなく、股関節や下肢周囲へのアプローチを進める中で、前屈・後屈時の痛みが段階的に変化したことが確認できました。
ただし、これはあくまで施術直後の変化です。
今回は単発での施術となっており、その後の経過については次回連絡予定となっています。
そのため、「慢性腰痛が改善した」「再発しなくなった」と判断することはできません。
なぜ施術直後に痛みがなくなっても経過を見る必要があるのか?
慢性腰痛では、施術直後に痛みが軽減していても、普段の生活に戻ったときに再び症状が現れることがあります。
特に今回の評価では、柔軟性だけでなく、腸腰筋や中殿筋の筋力低下も確認されています。
手技などによって筋肉の緊張が変化しても、育児中の姿勢を支えるために必要な身体機能が十分でなければ、同じような負荷が繰り返される可能性があります。
そのため継続的に身体をみる場合には、痛みの経過を確認するとともに、
股関節の可動性、体幹機能、股関節を支える筋力、育児中の姿勢や動作
などを再評価していくことが重要です。
慢性腰痛では施術と運動療法をどう使い分ける?
痛みが強い段階では、まず身体の状態を評価し、症状に応じて施術や負荷調整を行います。
一方、痛みが落ち着いた後も筋力や動作に課題が残っている場合には、運動療法によって身体を支える機能を高めていくことも選択肢になります。
今回の症例では腸腰筋や中殿筋に筋力低下が確認されているため、継続して対応する場合には、症状の経過をみながら体幹や股関節周囲の機能を再評価することが重要だと考えられます。
住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、施術だけで完結させるのではなく、必要な場合には併設するパーソナルトレーニングと連携し、運動療法を取り入れることができます。
ただし、慢性腰痛だから全員がトレーニングを行うわけではありません。
その人の筋力、柔軟性、動作、生活背景を評価したうえで、必要性を判断します。
今回の症例から分かること
今回の症例で特徴的だったのは、腰以外の部位へのアプローチによって前屈・後屈時の痛みが段階的に変化したことです。
腰痛というと、どうしても「腰の筋肉が硬い」「腰を揉めばよい」と考えがちですが、身体は腰だけで動いているわけではありません。
股関節、骨盤、体幹などが連動して動いています。
今回も股関節周囲には柔軟性低下と筋力低下が確認され、それらが腰への負担に関係していた可能性があります。
特に育児では、
床から立ち上がる、低い位置で子どもの世話をする、抱き上げる、中腰を繰り返す
といった動作が日常的に発生します。
そのため、慢性腰痛を繰り返している場合は、「腰が痛いかどうか」だけでなく、「腰に負担が集中しやすい身体の使い方になっていないか」を確認することが重要です。
慢性腰痛についてよくある質問
Q1.慢性腰痛は姿勢が悪いことが原因ですか?
姿勢だけが原因とは限りません。
腰痛には関節の動き、筋力、柔軟性、日常生活での負荷、仕事環境、運動量など複数の要素が関係することがあります。
今回の症例では姿勢の特徴だけでなく、股関節周囲の柔軟性低下や筋力低下も確認されました。
そのため、姿勢だけを見て原因を決めるのではなく、身体全体を評価することが重要です。
Q2.腰痛なのに股関節やお尻をみるのはなぜですか?
腰と股関節、骨盤は連動して動くためです。
股関節の動きや筋力に課題があると、その分の動きを腰部で補う場合があります。
今回の症例でも、腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋の柔軟性に課題があり、腸腰筋と中殿筋には筋力低下が確認されました。
そのため腰だけではなく、股関節周囲も評価・施術しています。
Q3.腰が痛いときはストレッチをした方がいいですか?
身体の状態によって異なります。
今回のように柔軟性低下が確認される場合もありますが、「腰痛ならこのストレッチをすればよい」と一律に考えることはできません。
どの筋肉に硬さがあるのか、どの動作で痛みが出るのかを確認したうえで、セルフケアを選択することが重要です。
Q4.施術で痛みが0になれば治ったと考えていいですか?
施術直後に痛みがなくなったことと、慢性腰痛が長期的に改善したことは同じではありません。
今回も施術直後の前屈・後屈時にはPS0となりましたが、単発施術のため、その後の経過はまだ確認できていません。
日常生活に戻った後の状態まで確認することが重要です。
Q5.慢性腰痛には筋トレが必要ですか?
すべての慢性腰痛に同じ筋力トレーニングが必要なわけではありません。
今回の症例では腸腰筋と中殿筋に筋力低下が確認されたため、継続して対応する場合には運動療法を検討する余地があります。
トレーニング内容は、筋力や可動域、痛み、日常動作などを評価したうえで決める必要があります。
Q6.育児中に腰痛を繰り返す場合はどうすればいいですか?
まず、どの育児動作で症状が強くなるのかを整理することが重要です。
抱っこで痛いのか、床で子どもの世話をすると痛いのか、立ち上がると痛いのかによって、評価すべきポイントは異なります。
繰り返している場合には、腰だけでなく股関節や体幹機能、実際の動作まで確認すると、負担につながる要素を整理しやすくなります。
Q7.整形外科を受診した方がいい腰痛はありますか?
あります。
強いしびれ、麻痺、進行する筋力低下、排尿・排便の異常、大きな外傷後の腰痛、安静にしていても非常に強い痛みが続く場合などは、医療機関での評価を優先する必要があります。
SAMONAでも、身体の状態によって必要と判断した場合には整形外科など医療機関への受診を検討します。
同じような慢性腰痛でお悩みの方へ
「子どものお世話をしていると腰が痛くなる」
「中腰や低い姿勢になるとつらい」
「その場では楽になっても、何度も腰痛を繰り返している」
このような場合でも、腰痛に関係している身体の状態は人によって異なります。
股関節が硬い方もいれば、体幹や股関節周囲の筋力、普段の身体の使い方などが関係している方もいます。
そのため慢性腰痛では、痛い腰だけではなく、股関節、骨盤、体幹、姿勢、動作などを含めて身体全体を評価することが重要です。
江東区・住吉駅前サモーナスポーツ整骨院では、姿勢、関節可動域、柔軟性、筋力、左右差、日常動作などを確認したうえで、その方の身体の状態に応じて施術を行います。
また、筋力や動作の課題が確認された場合には、必要に応じて運動療法や併設パーソナルトレーニングと連携し、痛みの軽減だけでなく、育児や仕事などの日常生活、さらに再発予防までを考えてサポートしています。
この記事の執筆者:中澤 武士(なかざわ たけし)
保有資格:
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柔道整復師(国家資格)
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NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
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NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
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中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)
プロフィール:
スポーツ現場から医療分野まで幅広く携わる実践型トレーナー・施術者。
これまでに、大相撲の横綱をはじめとする幕内力士、新極真空手日本代表、プロボクサー、デフフットサル日本代表、競輪選手、実業団選手、市民ランナーなど多様な競技者をサポート。
施術による痛みの改善から競技復帰、さらにはパフォーマンス向上まで一貫したサポートを行うことを強みに、学生アスリートからトップ選手まで高い信頼を得ている。
現在は、江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」のエリアマネージャーとして、現場での施術・トレーニング指導に従事。スタッフ教育にも力を入れ、後進トレーナーの育成にも積極的に取り組んでいる。
区の行政事業における体操教室、トレーナー専門学校での学生教育、同業トレーナーへの指導、社内研修での講師など、教育・普及活動にも幅広く参加。
「根本改善・再発防止・パフォーマンス向上」を掲げ、身体の本質を見極める全身アプローチを信条に、多くの利用者が長く健康で動ける身体づくりをサポートしている。
この記事の監修者:鮫島 洋一(さめしま よういち)
保有資格:
- 柔道整復師(国家資格)
- 鍼灸師(国家資格)
- あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー)
- NASMフィットネスエデュケーター
プロフィール:
メディカルトレーナーとして、甲子園大会や世界陸上など国内外のスポーツ現場に帯同。トップアスリートから成長期の学生アスリートまで、競技復帰・再発防止・パフォーマンス向上を見据えた施術・指導を行っている。
スポーツ障害に対する専門的な視点と、根本改善を重視した全身アプローチで、多くの競技者のサポートに携わってきた。
現在は江東区エリアにて「サモーナスポーツ整骨院」「パーソナルトレーニングジム サモーナ」を運営し、地域の運動愛好家・学生アスリートからの信頼も厚い。また、トレーナー教育のための専門学校のコース長として教育の現場でも活躍している。









