野球肩の種類と治療
2019.01.12
野球をやっている方なら一度は『野球肩』という言葉を聞いたことありますよね。
野球肩(投球障害肩)にどのような種類があって、実際にどのような治療をするのかまとめました。
【目次】
1 野球肩(投球障害肩)の種類
<野球肩の種類>
・インピンジメント症候群
・関節唇損傷
・肩関節不安定症
など
上記を総称して野球肩と呼んでいます。
なので、一概に野球をやっていて肩が痛いからこの治療とは言えないのです。
しっかりと検査したうえで、どの種類の野球肩なのかを判断する必要があります。
(種目別スポーツ障害の診療 P27 図2より引用)
1. 1 インピンジメント症候群
野球肩の中で一番多く発生するのがインピンジメント症候群です。
野球だけでなく、上肢を多用するスポーツで多く発生します。
肩甲骨周囲の筋肉と腱板(肩のインナーマッスル)の機能がうまく働かないまま、腕を上げる動作と腕の骨をひねる動作が繰り返されると、肩関節にストレスが加わり発生します。
・腱板炎(インナーマッスルの炎症)
・肩峰下滑液包炎
・腱板断裂(インナーマッスルの断裂)
これらを総称してインピンジメント症候群と呼びます。
1. 2 関節唇損傷
関節唇は、上腕骨(腕の骨)と肩甲骨が関節する部分にある軟骨です。
上腕骨頭(腕の骨)の受け皿になっています。関節唇は、上方、下方、前方、後方に分かれています。
(種目別スポーツ障害の診療 P33 図11より引用)
<関節唇の主な役割>
・肩関節の安定性を高める
・衝撃を吸収するクッション材
主に上記のような役割を果たしています。
関節唇は骨に付着していますが、野球などの上肢を多用するスポーツや脱臼などの影響ではがれてしまうことがあります。
関節唇がはがれることを関節唇損傷と呼んでいます。
野球では特に、投球動作やスライディングなどで関節唇を痛めることが多いです。
野球肩での関節唇損傷としては上方の関節唇が損傷することが多いといわれています。
上方の関節唇損傷によって肩関節の不安定感や引っかかり感を訴えるようになります。
1. 3 肩関節不安定症(野球肩では前方不安定症)
野球肩で言われる肩関節不安定症は、前方の不安定症が多くみられます。
繰り返す投球動作が原因で、肩の前方にゆるみが出てしまします。
ボールを投げる動作のときに肩が抜けそうな感じが生じます。
投球動作のコッキング期から加速期にかけて、肩関節前方に大きなストレスが加わります。
ピッチング動作などの投球動作を繰り返しているうちに、関節包がゆるんでしまします。
そのゆるみの影響で肩関節が不安定になってしまうのです。
この不安定感をカバーするために腱板(肩のインナーマッスル)が働きますが、頑張りすぎて支えられなくなると、腱板自体も損傷してしまいます。
前方へのストレスが大きいと関節唇や靭帯が切れることもあります。
○前方不安定症の発生機序
投球しすぎ
↓
肩の過度な外旋
↓
肩前方のゆるみ
↓
肩関節の不安定感
↓
腱、靭帯、関節唇の損傷
<野球肩の種類のまとめ>
代表的な野球肩は、インピンジメント症候群、関節唇損傷、肩関節前方不安定症があります。
患部を治療しただけでは、再発のリスクは減りません。
インナーマッスルの機能を改善するとともに、肩甲骨の安定性、脊柱・体幹の機能、股関節の可動性と安定性を高める必要があります。
患部の痛みがなくなったからと言って安心しないでください。
2 野球肩の治療
野球肩に共通して行われる治療としては、主に保存療法を中心とした肩関節の可動域改善になります。
腱板機能を強化、肩甲骨の協調運動、肩関節に過剰なストレスをかけないような投球動作の獲得になります。
2. 1 肩関節インピンジメント症候群
年齢が若くても非常に発症が多いのが肩関節インピンジメント症候群です。
痛みなどが非常に強く出ている場合は、投球禁止になります。
若い選手には、保存療法を第一選択として治療をしていきます。
<サモーナスポーツ整骨院で行っている治療>
・肩関節周囲の筋肉に対して手技療法
・肩関節の可動域改善
・肩甲骨の安定性・協調性を高めるリハビリテーション
・体幹の回旋機能の改善
・股関節の機能改善リハビリテーション
また、症状が強く出ている際には、特殊電気を用いて早急に炎症を抑えていきます。
2. 2 関節唇損傷(野球肩では上方関節唇損傷が多い)
野球肩の場合での関節唇損傷は、上方の関節唇損傷が多くスラップ損傷とよばれます。
保存療法の場合は、腱板(肩のインナーマッスル)機能の改善を中心としたトレーニングと同時に、肩甲帯の協調運動を行います。
また、体幹の回旋機能、股関節の機能を高めていき、肩関節に過度なストレスを加えない投球動作を獲得します。
<サモーナスポーツ整骨院でできる治療>
・手技による肩関節の可動域改善
・鍼灸治療による筋緊張の緩和
・筋膜リリースによる可動域改善
・肩のインナーマッスルのアスレティックリハビリテーション
・股関節の機能改善トレーニング
・股関節と体幹、肩関節の協調性獲得
腱板関節面不全断裂を併発している場合は、保存療法での完治は難しく、観血的な治療が必要になることがあります。
2.3 肩関節不安定症の治療(野球肩では前方不安定症が多い)
保存療法の場合は、投球をせず安静にすることが大切です。
症状によっては、1~2週間で改善します。
肩のインナーマッスルの機能を改善すること、肩甲骨の協調性の改善が重要です。
いずれの野球肩に対しても体幹の回旋機能、股関節の機能を改善することはキーポイントになります。
<サモーナスポーツ整骨院でできる治療>
・手技による肩関節の可動域改善
・鍼灸治療による筋緊張の緩和
・筋膜リリースによる可動域改善
・肩のインナーマッスルのアスレティックリハビリテーション
・股関節の機能改善トレーニング
・股関節と体幹、肩関節の協調性獲得
<野球肩の治療法のまとめ>
野球肩を保存療法で治療する場合、肩関節のインナーマッスルの機能改善は必須になります。
患部の治療だけでは再度受傷するリスクがあるので、全身の運動連鎖をしっかり作る必要があります。
また、痛みが改善しにくい場合、首のトラブルが影響して、肩に症状が出ることもあるので、しっかりとした評価が必要です。
3 野球肩の治療のまとめ
野球肩には、様々な病態が存在します。
患部の評価だけでなく、コアの機能、股関節の機能、首の状態、背骨の動きなど全身をしっかり評価し、治療することで再受傷のリスクを減らすことができます。
痛みにより悩みがある場合は、患部の治療と同時進行で、患部以外の機能を高めるリハビリテーションを行うことで早期復帰することができます。
お悩みの方はサモーナスポーツ整骨院にお問い合わせください。
サモーナスポーツ整骨院
東京都江東区大島6-9-12 アプツ大島1F
TEL:03-5609-7444
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